
■プロフィール
武隈大輔
クムカレント株式会社 代表取締役
WEB広告代理店で広告運用に従事した後、全国に数十店舗以上を展開する美容外科クリニックグループのマーケティング責任者、全国30店舗以上を展開するパーソナルジムの顧問として店舗集客に携わり、現在は店舗事業の集客・制作・システム導入を得意とするWEBマーケティング支援法人の代表を務めている。
店舗集客の「5割」は出店場所で決まります。残りの5割を出店後に動かすために、商圏の捉え方と競合調査、Googleマップの口コミ施策とチャネル設計を、支援経験をもとに解説します。
初めまして、武隈大輔と申します。WEB広告代理店で広告運用に従事した後、全国に数十店舗以上を展開する美容外科クリニックグループのマーケティング責任者、全国30店舗以上を展開するパーソナルジムの顧問として店舗集客に携わり、現在は店舗事業の集客・制作・システム導入を得意とするWEBマーケティング支援法人の代表を務めています。支援先は年間数百万円から数十億円近くの予算規模まで、新規出店から既存店のグロースまで幅広く関わってきました。
コーポレートサイト:https://kumucurrent.jp/?utm_source=kaikoku&utm_medium=referral&utm_campaign=digimaguild_2610

そんな私の中で、店舗ビジネスの勝ち筋の軸が固まってきており、今回はこの一部をお話させていただければと思います。
店舗集客の「5割」は出店前に決まる
残酷なお話をいたします。私は、店舗集客の「5割」は出店前に決まると考えています。オンライン商材と異なり、実店舗型のビジネスは「出店場所」によって商圏距離・人口(通行量)・競合状況が大まかに定まるからです。

また商圏「距離」は、主に「業種」と「都心/地方」の2軸によって決定します。
①業種
低頻度だが、質が重視される/個人の好みやこだわりが反映されやすい業種
(例)外科手術、ヘアサロン、結婚式場、老人ホームなど
商圏「広」
→金銭的・時間的制約が大きくても、最も「良い」と感じるサービスを選ぶお客様が多い。
高頻度で定期的に通う必要のある業種
(例)パーソナルジム、学習塾、ピラティス、整骨院、デイサービスなど
商圏「狭」
→週2,3回など、高頻度で通うことが一般的なサービスは時間的制約から、自宅や職場から近い店舗を選ぶお客様が多い。(特に女性の場合、近隣の住民や会社の同僚にプライベートを認知されたくない心情から、自宅や職場から1,2駅離れた駅周辺の店舗を利用するケースも数多くございました)

②都心・地方
都心
商圏「狭」
→都心は競合他社が多く、自宅や職場近くの選択肢が豊富な場合が多い。また電車利用率が地方の約6.6倍(約25%)のため、「面(半径)」ではなく「線(路線)」で商圏を捉える意識が大切です。
地方
商圏「広」
→地方は競合他社が少なく、自宅や職場近くの選択肢が少ない場合が多い。また自動車保有数が都心の約3〜4倍(1世帯あたり約1.6台)のため、移動時間に対する移動距離が長く融通も利きやすい傾向。「線(路線)」ではなく「面(半径/道路網)」で捉える意識が大切です。

参照:一般財団法人自動車検査登録情報協会(AIRIA)「自家用乗用車の世帯当たり普及台数」
「集客」以外の意識すべき要素
「出店場所の最適化」は商圏や競合状況などの「集客」に影響する要素だけでは定まりません。「顧客単価」「経費」の要素も重要になります。
例えば、地方は「見込み顧客の母数」自体は少ないですが「競合他社」や「娯楽の種類」も少ないです。また「世帯単位の可処分所得」も地方の方が多い場合がございます。
参照:都道府県別の経済的豊かさ(可処分所得と基礎支出)(国土交通省)
勿論、周辺の競合他社の料金などにもよりますが、地方の方が「お客様1人あたりのLTV(顧客生涯価値)」は大きくなる傾向にあると言えるでしょう。また「賃料」「人件費」等の経費相場も安くなる傾向にあるので、原価や販管費を合算した「総費用」も優位に働く場合は多いです。
まとめると「売上=集客数*顧客単価*来店数(継続月数)」と「総費用=原価+販管費」の2軸を元に、自社のサービスが何の要素に強みがあるかを明確化し、自社の強みが活きる場所に出店することが大切です。

「競合調査」は必ずやること
実際に出店する「業種」「場所」を決定する際、私は「競合調査」が必須と考えています。競合調査で意識すべき項目は、主に「来店数」「顧客単価」「集客方法」の3つです。
「来店数」は、現地調査にてリアルな人数を測ることができます。その際、1日あたりの平均来店数だけでなく「客層」「男女比」「年齢」「平日・休日ごとの1日あたりの平均来店数」まで把握できると、「集客戦略」や「人材像」を固める際に役立ちます。
「顧客単価」も、業種によりますが可能な限り調査すべきです。例えばパン屋の場合、何のパンが何円でいくつ買われているか、クロスセルとして飲み物やジャムなどがいくつ買われているかといった「内訳」まで把握できると、「入荷数」や「人員数」を固める際に役立ちます。
そして最後に1点、「集客方法」も把握すべきと私は考えています。例えば集客が上手くいってる店舗があったとして、要因が「立地」か、それとも「集客方法」が優れているかで、自社に取り入れるべき要素が変わります。
「集客をやり切れていなくても、集客が上手くいってる店舗」を見つけて、その周辺で同業種の店舗を開業し質の高い集客戦略を実行すれば、開業の成功率は高いといえるでしょう。

「出店後」が本番
ここまでの記事をご覧いただき、「出店場所」に改めて確信を抱いた経営者様、後悔している経営者様など、様々かと思います。
今回、私がお話したい内容はここからです。店舗集客の「5割」は出店前に決まると、冒頭でお伝えいたしました。ですが「残りの5割」は出店後でも挽回できますし、6,7割以上の改善も見込めると考えています。また現在、集客が上手くいってる事業者様も、適切な集客戦略を組んで実行すれば、更に顧客数を増やすことができます。
ご支援させていただいた実感、約9割の事業者様の集客状況には何かしら大きな課題があると感じています。
- 口コミや紹介に依存し、具体的な集客施策を何も行えていない。
- ポスティングなど、オフライン集客はできているが、社内のアセット不足でオンライン集客はできていない。
- 集客チャネルは網羅できているが、顧客導線が整備し切れておらず、お客様が離脱しやすい設計になっている。
集客を劇的に改善する施策の「一部」をご紹介いたします。
【事例①】「Googleマップ」の重要性
過去、全国30店舗以上を展開するパーソナルジム様の顧問を務めていた時の事案です。このパーソナルジム様は効率的な運営を基盤とした高品質+格安のレッスン提供を強みにお客様を集客していました。
この中で、集客が相対的に「上手くいく店舗」と「苦戦する店舗」に分かれます。マーケティングの計測ツールを用いると、「該当チャネルから流入したユーザーが、どの順番でどのチャネルに何人流入したか」WEB上の顧客導線を定量的に把握することができます。本データを詳細に紐解いていくと、(WEB広告など)どの集客チャネルでも「Googleマップ」を経由していることが分かりました。通常、コーポレートサイトを経由している割合の方が多いと感じる読者様が多いと思います。しかし、店舗ビジネスにおいては「Googleマップ」を経由するお客様の割合が多く、優先度の高い領域であると考えています。
「コーポレートサイト」と「Googleマップ」の違い、それは「お客様のリアルな評判」です。コーポレートサイトは自社が見せ方をコントロールできますが、Googleマップは口コミ機能があり、自社が見せ方をコントロールしにくいです。仕組み上、情報の信頼性が担保しにくい「アフィリエイトの比較サイト」や「インフルエンサーマーケティング」などが乱立する近年、お客様のネットリテラシーが高まり、「真のサービス価値を測る情報源」としてGoogleマップの口コミ評価を重視するお客様が増えたと推察できます。事実、該当のパーソナルジム様は口コミ施策に取り組み、CPO(顧客獲得単価)が大きく低下いたしました。本件より、UGC(お客様が生み出すコンテンツ)の質・量が、店舗全体のCVRに間接的に大きく寄与していることが分かります。
「他者評価」に着眼すると、ChtaGPTやGemini、Claudeといった生成AIの回答(AIO)の重要性が今後一層増していく点、InstagramをはじめとしたSNSの評判、美容外科の場合は「トリビュー」、美容院の場合は「ホットペッパービューティー」といった業種特有のポータルサイトの評価なども依然重要である点も、合わせてご認識いただけますと幸いです。

【事例②】「チャネルの特徴」と「時代の流れ」を正確に掴む
集客チャネルの整備は、大きく分けて2つの要素に分けることができます。
①「数」の要素
WEB広告、MEO(Googleマップ最適化)、SEO(検索エンジン最適化)など、展開するチャネル「数」を増やす。
②「質」の要素
WEB広告であれば「キャンペーン構造の最適化」「LP改善」、MEOであれば「Googleビジネスプロフィールの最適化」「口コミ施策」など、各チャネルの集客「効率」を高める。

まずは、①と②をやり切ることが大切です。更に踏み込んで、私は以下の③と④が集客「数」や「効率」に大きな差を付けると考えています。
③「チャネルの特徴」の要素
「チャネルごとの特徴」を正確に掴み、力を入れる施策の選定や周辺の制度も合わせて整備することが必要です。例えば、SNSマーケティングの場合、店舗ビジネスに限定すると集客「効率」がオンライン商材に比べるとやや落ちやすいと考えています。
全国に多店舗展開している事業者様は別ですが、単店舗や地域特化の事業者様の場合、(狙う検索クエリで商圏を絞ることができるWEB広告・MEO・SEO等と比べて)商圏外のお客様にもアプローチするため、金銭的・時間的制約に伴い、来院ハードルが上がるからです。
前述の「低頻度だが、質が重視される/個人の好みやこだわりが反映されやすい業種(例)外科手術、ヘアサロン、結婚式場、老人ホームなど」は、遠方でも「質」がよければ(もしくはファンになっていただいていれば)一定数のお客様が来院されることは、過去の支援経験から把握しています。
ただし片道1時間で通える距離にある場合と比べて、集客「効率」は落ちてしまいます。可能な限り集客「効率」を落としたくない事業者様は、一例として、以下のような制度を敷く必要がございます。
- 金銭的制約の緩和:オンラインカウンセリングを実施する、交通費を支給する等
- 時間的制約の緩和:出張サービスのような別オプションも用意する等

④「時代の潮流」の要素
「時代の潮流」を正確に捉えて、その時々のトレンドにいち早く乗っかることで、集客「効率」を高めることができます。市場原理が十分に働いていない状況のため「先行者利益」を獲得することができるからです。
一例として、2026年6月から日本で出稿できるようになった「ChatGPT広告」がございます。ChatGPTの回答欄の下に、別枠として自社のサービスを表示させることができます。

参照:ChatGPTでの広告 | OpenAI Help Center
社会人約2,000名弱を対象としたアンケート調査によると、調べ物をする際、生成AIを「よく使う」「ほぼ毎回使う」と回答した方は約6割に達する結果となりました。

参照:生成AIと検索エンジンの利用実態調査〜検索エンジンを使用する目的は「答え探し」から「情報の検証・深掘り」の手段へ〜(マネーフォワードクラウド)
生成AI広告をいち早く始めることは、以下の2点より、集客において非常に大きなインパクトを生む可能性がございます。
1点目は、ユーザーの「会話の文脈」と「広告内容の関連性」で重み付けされたセカンドプライスオークションという課金方式の側面はあるものの、現時点ではまだ広く認知されていないため、競合出稿が少なく、平均クリック単価が低く出やすい(安く出稿しやすい)点です。
2点目は、お客様のサービスの調査方法が検索エンジンから生成AIに大きく移り変わっている最中、生成AI経由の集客「数」は今後益々増加していくと推察でき、日々増えていく新規ユーザーにいち早くアプローチできる点です。

実際に運用してみると、「見慣れない管理画面」や「広告ガイドラインが主要な媒体以上に厳格」など、戸惑う部分は多いかと思います。ですが、CPCが低く出る場合も多く、まだ「先行者利益」は獲得できる段階です。出稿を検討している経営者様は、お早めにテスト運用されることをお勧めいたします。
このように「情報感度」を高次元に保ち、「市場原理」が十分に働いていない「トレンド」や「技術」をいち早く掴み導入することが、事業を大きく飛躍させる意思決定になると私は考えています。最後の③④は、難しい話題だったかもしれません。ですが①②を整えるだけでも、事業インパクトは非常に大きいものがございます。
(例)ご支援している3D動作解析アプリの企業様において、広告の飛び先のWEBページの課題を分析し、適切に改修いたしました。結果、1お問い合わせあたりのCPA=約2分の1に低下いたしました。1商談あたりのCPAも同じく約2分の1に低下いたしましたので、お客様の質を落とさず、集客「効率」の極めて高い運用体制に改善することができました。
読者が本日からできるアクションプラン
最後に、この記事を読んでくださった経営者の方、もしくはマーケターの方に、本日からできるアクションプランを2つご用意いたしました。
【アクションプラン①】
現在、集客チャネルは本当に網羅できているかを箇条書きで列挙し、不足しているチャネルがあれば始めてみる。
【アクションプラン②】
お客様になったつもりで現在の集客導線を1つ1つ辿り、お客様にとって魅力的に映らない・理解しにくいUI/UXの設計になっている箇所がないか点検する。
課題の箇所があれば、改善しテストしてみる。

まずは①②を整え、その上で③④まで踏み込んだ思考や実行までできるようになれば、競合他社より一歩進んだ集客基盤を構築することができるようになるでしょう。
本記事が貴社の成長の手助けになれば嬉しく思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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